「それにしても、よく寝るなぁ」


那祁は、あたしの膝の上でぐっすり眠っている蒼真に目を向ける。
下を向けば、綺麗な顔が見える。
女のあたしよりも長い睫毛に、ニキビ等出来たことなどないような綺麗な肌に、若干羨ましさを感じる。


「もう、昼なのにね」


今日は、授業に出る気力もなく、蒼真は無事テストをクリアし、少し楽になったので二人でサボっていたのだ。
しかし、もう昼間だ。そろそろ4限目が終わるだろう。


「ご飯、どうするのかな?」

「さぁ?恵里ちゃんは?お弁当?」

「今日は違うの。売店か学食に行こうかなって思って」


最近、お母さんにはお弁当を頼んでいなかった。
しばらくの間は頼まず売店か食堂で済ませるつもりだ。


「そうなんだ?―――廉」

「あ?」

「廉も売店だよね?」

「で?」


だからなんだよ、と言う廉に那祁はニヤリと笑った。