「剥れても可愛いだけだぞ」


そう言って、蒼真はあたしの頬を突っついた。
プスーと空気が口から漏れると蒼真の笑みは深まり、あたしは顔に熱が集中する。


(あぁ―もう……)


手で扇ぎながら冷まそうとする。
ドキドキと心臓は活発的だ。


(いつか心臓破裂しそう……)


毎日、あたしの心臓は蒼真の一つ一つの仕草、声、表情にときめいてばかりだった。このままじゃ心臓が持たなくなりそう。


半歩前を歩く蒼真の後ろを歩きながら、ふぅっと熱い息を吐いた。






「………未だに信じられない」


ポツリと廉が呟く。
視線の先にはあたしと蒼真。
呆れたような、変なものを見ているような目に、あたしは苦笑するしかない。