「あぁ……あそこは自由に使えるからな」

ふっと蒼真は笑みを見せてくれる。
そして、徐に立ち上がるとあたしに手を差し出した。


「今からは、屋上は休みにするか」

「そうね……温かい所が良いしね」

「冷え性か?」

「えぇ」


頷きながら差し出された手を取る。
蒼真に引っ張られて立ち上がりながら、スカートについた汚れを落とす。


「………盲点だったな」

「え?」


蒼真が小さく呟いた言葉が聞こえなくて、思わず聞き返せば、繋がれた手を指と指を絡める繋ぎ方に変え、歩き出した。


「蒼真、今なんて言ったの?」

「ん?……別にただの独り言だ」

「………」


むぅ……なんか気になる。
頬を膨らませて蒼真を軽く睨むと、視線に気付いた蒼真が肩越しに振り返る。