―――――――
―――――


だんだんと寒くなってきた。
陽が沈むのも早くなり、服も衣替えの時期になる。


「―――ねぇ蒼真」

「ん?」


いつもの通りあたしと蒼真は屋上にいた。壁もなくフェンスしかない屋上では、冷たい風を凌ぐことはできない。


あたしは、背中合わせになりながら体重を掛け合って他愛もない話をしながら、蒼真に提案する。


「屋上、寒くない?」

「そうか?」

「風も冷たくなってきたし……」


風邪引いたらこまるわよ。
そう言えば、蒼真は小さく唸り、移動するか、とあたしに提案した。


「うん」

「暖かいとこだろ?………数学準備室だな」

「あそこ?」


蒼真と初めて逢ったあの場所。
あたしの人生が変わり始めた日。
思い出の場所だ。