「それから、ずっと見てきた。」
遠くから、全部見てきた。
彼氏が出来たと聞いたときは胸が引き裂かれそうだった。
でも、恵里が幸せならそれで良かった。
「―――でも、実際は違ったろ」
恵里と付き合った男は、妹の方と付き合いたいが為に言い寄っていた。それが分かった時、男を抹消したかった。
「それで、思ったんだよ。見てるだけじゃ駄目だ。」
これ以上、他の男に触れさせたくない。
傷付けたくない。
なら、自分の傍に置けばいい。
「それでも……俺でも、傷つけてしまうんだな……」
「………っ」
あたしは、蒼真の言葉を聞きながら涙を流した。
蒼真は何も悪くないの。
言葉に出来なくて、首を振る。