蒼真の腕の中にいると気付くのに時間はいらなかった。


「…………恵里に初めてあったのは、恵里が二年の時の入学式だ」

「入、学式……?」

「あの女が入った日。双子みたいにそっくりな姉妹がいるから、て興味本意に見に行った」


茉里の入学式。
あたしが、嫌な思いをする日々が始まった日。
高校なんて沢山あるのにあたしと同じ学校を選んだ茉里に憎しみを覚えた日だった。


「本当にそっくりだった……外見はな」


片や自分の注目を喜び、媚びを売っている妹。自分中心で世界が回っているとでも思っている女。
片や目立つのを嫌い、妹に憎しみを抱きながら、しかし負には染まらず安心できる雰囲気を醸し出す姉。


「柄にもなく、一目惚れしたんだよ」


安心できる雰囲気を醸し出す姉の方に。