「―――蒼真が、何であたしなんか好きなのか、分かんないもの」
「あ?」
「だって!!皆、茉里だったのよ!?」
直ぐに信じられるわけない!!
「最初は優しくても、茉里に行くかもしれないって………」
「………何度も言ってたろ」
「それでも!!」
声が震える。
涙が溢れてくるのを必死に食い止めた。
信じるのが怖かった。
好きになっていくのが怖かった。
温もりが離れていくのが怖かった。
「………怖かった……」
茉里に行ってしまうんじゃないか。
裏切られるんじゃないかって考えると怖かったんだ。
「―――恵里」
酷く優しい声に囁かれ、あたしは、制服のスカートの上で握りこぶしをしながら俯いた。
フワッと温かいものに包まれた。