忘れていた訳じゃなかった。
ただ、なにもしてこなかったから安心していたのかもしれない。
でも、あの子がなにもしないはずはなかった。
あの子はあたしが大嫌いだから。
――――――――
―――――
久しぶりのお母さんの夜勤。
あたし達のために働いてくれているお母さんに文句なんか言えないけど、夜勤は嫌い。
茉里と二人きりになるから。
「ちゃんと戸締まりしてね」
「うん」
お母さんが出勤するときはいつも二人で見送る。
「茉里は、ちゃんと勉強して。」
「わかってまーす」
「恵里は、無理したらダメよ?」
「うん」
「最近は、調子良いみたいだから安心だわ」
きっとあの子のお陰ね。
お母さんは、ニッコリと笑う。