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「………別れよう」


誰もいない屋上。
蝉の声が耳障りだ。


あたしは、ゆっくりと目を瞑った。


「………そう。」

「あぁ」

「貴方もやっぱりあの子がいいのね。」


目を開けると、目の前の彼氏だった彼は、気まずそうに目を反らした。


(………また、か)


心の中でため息を一つ。
これで何回目かな?
もう、忘れちゃった。


「じゃあ、な……」


そそくさと屋上から出ていく彼の背中をボンヤリと眺める。


涙が一滴も出てこない。
それは、あたしが彼を好きでなかったから。
最初からわかっていたことだから。
皆、皆………あの子ばっかり。


空を見上げた。
雲一つ無い空が、あたしは心底好きだった。