…いや、
悩みなんかじゃないんだ。
ただ不安なのだ。
どきどきどきどき……
心臓は変に高鳴る。
手の平は湿り気を帯びる。
「………ぇ…、っねえ!」
「うわあっ!?」
我に返ると、ぼくの彼女・早紀が顔をぐっと近づけて頬を膨らませていた。
あまりの近さに驚いて、ぼくは背を反らした。
その動作に、彼女は余計に頬を膨らませる。
「もう!話聞いてた?」
「あ、ああ…ごめん、何?」
「やっぱり聞いてなかったんだ!
だから~・・・・」
彼女はまた話を再開した。
彼女の話に相槌を打ちながら、ぼくはこっそりポケットに手をつっこんで、ある小箱を握りしめる。
ぼくは、これから、
早紀にプロポーズをする。