依然として楽しそうに話す早紀の顔を、ぼくは頬杖をつきながら眺める。
未だに止まらない早紀の可愛らしい口。
キラキラと輝く丸っこい目。
興奮からなのか、たまにピクピクする鼻が面白い。
どれだけ見ていても飽きなかったけれど、さすがにぼくも少し眠くなってきた。
とっくに日付は変わっていて、仕事の疲れとプロポーズ前の緊張も手伝って、ぼくの眠気はピークに達していた。
うとうとしながらも早紀の話を聞いていたぼくだったが、楽しそうな早紀の声を遠くで感じながら、いつしかぼくは夢の世界に入っていた。
「…ぇっ!ね~え!」
「………うん?」
早紀に揺さぶられて、ぼくは重たいまぶたをこじ開けた。
そこには少し呆れたように微笑む彼女。
「もう、寝るならベッド行かなきゃ風邪引くよ?」
「ん…」
ぼくは重たい体を起こして、早紀と一緒にベッドに向かった。
同じ布団に入って、ぼくは早紀の手を握りしめた。
早紀もぼくの手をしっかりと握り返した。
「早紀」
「なあに?」
「さっき、夢見てたよ」
「ふふっどんな夢?」
早紀は体をこちらに向けて、楽しそうに尋ねる。顔こそ見えないけれど、今、早紀の目は輝いているのではないだろうか。
ぼくは早紀の表情を思い浮かべて、小さく笑った。
「早紀とぼくが子供たちとペットに囲まれて、庭で日向ぼっこしてる夢」
「…素敵な夢ね」
「うん」
「叶うと良いね」
「そうだね」
「2人で一緒に叶えよう」
『きみとぼくの未来図』
fin.