いやでも、俺と同い年で恋愛経験がない人は一杯いるし。そもそも恋愛なんて突然やってくるというか必然的なものじゃないわけだし。
そもそも俺には恋愛する暇なんてない。なかった。
うん、全然おかしくない。寧ろ健在だ。うんうん。
俯いて無言になってしまって俺に、有香さんと大塚さんはお互いの目を見合っている。
あ、やばい。空気が悪い。なんか言わないと。
「こ、この歳で恋愛経験がない人なんて一杯いますよ。それにそういうことは、生涯一人の女性とちゃんと結婚してからするものです」
「「「えっ?」」」
三人の声が同時に耳に届いた。
口を半開きにしたままで、三人ともなにを喋ろうとはしない。
余計変な雰囲気になった。なにか変なことを口走ってしまったのだろうか?
「……どうかしました?」
堪らず声をかけると、ハッとしたように三人の瞳が動く。