なんというか、呆れてものも言えない。俺の労いの言葉は、意図しない形で美優に伝わってしまったのだ。
……でも、これはこれで良いのかも知れない。
観光するほどの気持の余裕があるのだ。俺が心配するだけで無駄だったということだ。
ほんと、美優には色んな意味で敵わない。
「タクちゃんは行きたいとこない?」
「……考えておくよ」
氷の女王と交わした秘密の約束。
この誓約が無事達成されるかどうかは、うちの鬼コーチに対する俺の交渉術が重要になっている。
―――ビーバーのダムを見るより先に、三途の川を拝みそうだ。