シェヘラザードは毎夜王に話をしては気を紛らわせ、話が佳境に入った所で話を打ち切った。


続きが気になる王はシェヘラザードを殺すことが出来ず、その繰り返しが千夜続いたという。


次第に王は心を改めた。というのが大まかなストーリー。


シェヘラザードが王に話して聞かせた話の中には『アラジンと魔法のランプ』や『アリババと40人の盗賊』、『シンドバッドの冒険』など、日本でも有名な物語が多く含まれている。


楽曲自体も人気があって、多くのスケーターがこのシェヘラザードを滑っている。


力強く、時にはゆったりと。凄く盛り上がる音楽だ。


「以前からショートで滑ってみたかったんです。女性が滑るイメージが強いけど、個人的に思い出深い曲でもあるんで」


そう、俺にとってシェヘラザードは大切な思い出だ。


だからいつか大きな舞台で滑りたいと思い、今までプログラムを作らなかった。


多分、今がその時。


ヤマトにはマイナス思考とか弱気とか言われたけれど、これでも多少は自分に自信が持てるようにはなったのだ。