ミスはあったけど、全力を出して楽しんだ。だから後悔はしていない。


「楽しめか……コーチと同じこと言うんだね」


「コーチってタラソワコーチ?」


「うん。コーチがね『タノシミナサーイ。ミューノエガオハ、セカイイチデース。ソノエガオデ、ジャッジヲメロメロニシテヤリナサーイ』って」


「あの人って突拍子もないこと言うんだな」


「だね。まあ五輪で楽しむためにも、年末年始返上で練習しなくちゃね」


「何かあったら相談しろよな。俺も出来るだけ協力するし」


「……ほぅ」


美優の口元が不気味に釣り上がる。


ニヤニヤして悪い顔。何か良からぬことを考えている表情。


「じゃあ今日からタクちゃんは私のアシスタントコーチ就任ね!」


ビシッと人差し指を指して、美優はタラソワコーチも吃驚の突拍子もない発言を俺にかましたのだ。