「ブラコンでシスコンとは、俺本気でヤバイ人だな……」


「シスコン?」


「あーいや、なんでもない。独り言だから気にするな」


無理やり誤魔化してサンドイッチをほうばる。


危ない危ない。美優の前で変なことを口走るもんじゃないな。


俺から振っておいてなんだが、話を切り替えよう。これ以上言及されたら面倒だ。


やっぱりここは、あの話題しかないだろう。


「そういや母さんの仕事部屋の紫の衣装を見たけど、五輪であれ着るのか?」


母さんの部屋で見つけたパープルの可憐な衣装。


素敵な衣装だとは思うけど、少し気になることがある。


五輪の話題に美優は喰いつき、カフェオレを一口飲んで「そうだよ」と肯定した。


「タクママが張り切ってくれてね。色がパープルと聞いた時はちょっと困ったけど、一目惚れしちゃったからあれを着ることにしたの」