西野の高得点を抜けるかどうかと考えれば、難しいというのが正直な所だ。
タクに西野以上のステップが出来るとは思えない。四回転を二つ跳ぶことも出来ない。
だが、完全に逆転の芽が潰されたわけではない。
二つの四回転や世界随一のステップが西野にあるように、こちらにもタクにしかない技術や表現がある。
西野の演技を見る限りでは、スピンでかなり取りこぼしていた。
あの取りこぼしがなければ、奇跡の技術点100点越えも夢じゃなかっただろう。
その点タクは生粋のスピナー。過去の試合を観ても、今までレベルを取りこぼしたことがない。
しっかりとした軸と柔軟性を生かした多彩なポジションによって、レベルだけでなく加点も稼げる大事な得点源の一つだ。
もう一つは六種類の三回転をエラーなく跳び分けること。
羽生はフリップのエッジに不安を持っており、矯正をしてもなお踏み切る際にエッジが中立気味になってしまいロングエッジを取られることが度々あった。
弟の朝飛は踏み分けてはいるが、フリップのエッジがややイン寄りの中立といった感じで、キチンと踏み切れているとは言い難い。