心の中に黒い何かが沁み込んで、徐々に黒味を帯びていく。


同じだ。二年前のあの時と同じだ。


次の言葉に衝撃を受けぬよう、感情が閉じていく感覚。黒く染まる防衛本能。


「落ち着け朝飛。なにがあったかゆっくり話せ」


『母さんが……』


決して驕っていたわけじゃない。調子になど乗っていない。


だけど神様は、ファイナル出場という高望みを許してはくれなかったようだ。






『お母さんが倒れた……』