朝飛のスケーティングに合うように作ったつもりだが、本人が気に入らなければまた作り直さなければならない。
緊張の一瞬。
朝飛は黙って近づくと、俺の両手を手にとって上下にブンブンと乱暴に振った。
「良い! 凄くいい! やっぱタク兄は天才だよ!」
「そ、そうか?」
「うん。超天才! 俺が想い描いてたプロの百万倍カッコイイ!」
ここまで手放しに喜ばれると素直に嬉しい。
苦労して作った甲斐があった。本田コーチには「敵に塩を送りやがって」と怒ってたけど。
大塚さんにも意見を求めると、グッと親指を突き立てた。
「良いプログラムだね。カッコイイだけじゃなく、遊び心もあって色々と工夫されてる。あっくんが滑ったら小悪魔っぽい雰囲気も出て面白くなりそうだ」
「大塚さん、小悪魔じゃなくて『ちょっぴり危険な感じ』だよ。チョイ悪だよ」
「ははっ。そうだね、チョイ悪だね」