余裕そうに笑みを浮かべて俺と同じようにリンクを一周すると、すぐにジャンプの態勢に入った。


フォアからモホーク(ターンの一種)バックになって左足インサイドエッジに体重を乗せて、即座に右足のトウを突いた。


3F(トリプルフリップ)


難易度は上から三番目。基礎点は5.5から5.3になっている。


流石ジャンプの申し子。見てるこちらが怖くなるくらいすさまじい高さのフリップだ。


ただやっぱり、離氷の瞬間ロングエッジになっている。


フリップはインサイドエッジで踏み切らなければならないが、選手の中にはアウトサイドエッジで踏み切ってしまう人がいる。


本来インでなければならないので、試合ではGOE(出来栄え評価)で減点されてしまう。


昨シーズンは軽度のロングエッジには『!』マークがついて、ジャッジの采配で減点にするか否かを判断。


重度のロングエッジには『e』マークがついて、−1〜−2の間で減点されていた。


今シーズンからは『e』マークに一本化されたが、大介のフリップはまず間違いなくロングエッジが取られるだろう。