ガシッ
…ん?
「そんなに誰かを殴りたいんですか?」
ぎゅっと閉じていた目を開けてみた。
「確かに、この子が悪いけれど
あなただってよそ見してたじゃ
ないですか?」
あたしの身体をかばうように
長い腕があたしを捕えていた。
「な……なんだよてめぇ!!!」
「僕ですか?
僕は、尾木原悠人です」
「…お前誰に向かって言ってんのか
わかってんのかよ!?!??!?」
「もちろん、わかって言ってますよ?
今年の最低点合格者の東野巧くん
ですよね??」
「…なんで、知って……」
「ああ、言い忘れていましたけど
僕、校長の息子の養子でして」
(え!!!?うそーーーーー!!!!!!)
「とにかく、今すぐこの腕を
折ってやりたいところですが、
入学初日から怪我人は
出したくありません。
東野くんもすぐに退学にならない
よう、気を付けてくださいね。」
そう言って、あたしの肩を抱いたまま
校長の息子の養子と名乗る男は
東野から離れていく。
「あの…助けていただいて
ありがとうございました!!」
「いえ。無事で良かったです」
「本当にありがとうございます!!」
「とんでもないですよ!!
ほら、あなたも早く自分の
クラスに戻った方がいいですよ」
「そうですね…!!」
あたしはそう言われて戻ろうとした。
「ああ、ちょっと!!!!」
「…はい??」
突然呼び止められ振返る。