この世に 悪がいれば善はいる


なんて、今だに信じているのは
あたしだけかもしれない。


けれど

もし、これが本当ならば

姫を助けてくれる王子様って
いるんじゃないの?




「宇未!!?」

突然、あのうるさい声に叩き起こされた。

「…んな叩かなくてもいいって!」

もう数十年と、この口うるさい
幼馴染くんと一緒だ。

「ほら!!電車、次の駅だからね!」

「---っ…着いたら起こせって
 言ったんすけど…?」

「…だって宇未、起きないもん」

「あ~わかりました!!!!起きます!!」

今日から高校生。

なのに、今だにコイツと登校。

「今年は絶っっ対、すぐると
 同じクラスとかヤダだからね?」

そう、中嶌すぐると。




「宇未ちゃん?クラスどうだった??」

中1の時から仲が良かった舞。

「……最悪」

「…またすぐるくんと同じだったの?」

「はぁ……もうヤダよー!!!!」

「中学の時も全部同じクラスじゃなかった?」

「ああ!!!!絶対すぐるの奴、
 仕組んでるよ!!!!!!!!!!!」

「でもすぐるくん、そういう子じゃ
 ないよね?怒ったところ
 見たことないし…」

「なんつーのかな…おせっかい?
 みたいな…奴?なのかな??」

「まあ、とにかく今年も一年
 頑張ってください!!!!!!」