「ただいま」
「お帰り、今日は珍しく遅かったね、どうしたの?」
ハルのおかあさんは炒め物に塩コショウをかけながら振り向いた。
「お母さん、フライパンに入ってないよw」
「あら~」
のんびりガス台の上をふきふき。
「ハル、お父さん遅いから先食べちゃおう」
「うん」
部屋に入ってかばんを机に置く。
制服を脱ごうとしたとき。
ピロリロリー♪
メールの着信音。
ディスプレイを見るとさっき別れたばかりのジュンだった。
「とりあえず写メ(写真の絵文字)って見た(イェーイの絵文字)どうだ?触れそうか?」
添付ファイルが容量いっぱいについている。
くすくす
中にジャンガリアンハムスターのタロ氏(ファイル名より判明)に紙で作った王冠をかぶせちまちましたケーキを与えいすに座らせている画像があった。
返信「タロ氏が可愛いです」
返信「あれ大変だったんだよ(にっこり)食べてもいいように野菜とか小さくカットしてケーキ(ケーキの絵文字)作ってさ、冠だけは紙で作ったけど、(ナイフとフォーク)食われちゃいけないから急いで写真とってさ(りんご)」
返信「感動しました」
返信「ありがとう(ハート)(ハート)(ハート)」
「なによこのメール、わたしのより可愛いじゃない」
そうつぶやくハルの口元は自分でも気づかないままに緩んでいた。