「ハムスターってどんなだっけ?」

ジュンとハルはゆっくりと歩みを進めながら話を続けている。

「ハムスターはね、とーーーーっても可愛いよ」

ジュンは小さいころから馬鹿だったおかげとか関係なしに
大きく育った今も小さくて可愛いものが大好きなのだ。

いっつもクールな表情が小さな可愛いものの話をするときは
だらしないにこにこした顔つきになる。

「何種類いるんだっけ?」
「まずロボロフスキーってのがいておじいさんみたいな顔で可愛いんだけどすばしっこいのとあんまり人になれない」

ジュンはロボたんのちいちゃなあんよを思い出す。

「ついでちょっと大きくなってジャンガリアンハムスターだな。こいつはまあまあ人になれるけど初めての人とかだと確かめるために噛むことがある。でも砂場でのくしくしが最高に」

そこでハルの目をじっと見つめる。

「可愛い」

・・・顔が。

「近いよ」

胸の鼓動を隠すようにそっぽを向く。
男なんてどいつもこいつも一緒って分かってるのに。
なんなの、こいつ・・・。

気にせずジュンは続ける。

「んで結構大きいのがゴールデンハムスターこいつは大きいだけあって噛まない。間の抜けた顔がやっぱし」

「可愛いって言うんでしょ」

先回りしてハルが言った。

「そうだよ」

超笑顔。

ドキ!

やだ。困る。無理。
かっこいいとかイケメンだね、とかありえないでしょ。うん。

深呼吸。

「どした?大丈夫か?」


「ごめん、それでどうしたらいいわけ?」
「とりあえず土曜か日曜に家に来いよ。いろいろいるからいろいろ試してみよう」

「俺と二人っきりは嫌だろうからヒロシは俺が呼んで、ミカちゃんも連れて来なよ」

「うん・・・」

ミカがいたら大丈夫。なんでもできる。頑張れる。


そんな気がする。


二人はアドレスを交換してさよならした。