「おいっジュン!」


フルフル震えていたジュンは勇気を振り絞るかのように




吠えた。




「オオカミ!?」

犬嫌いのハルは窓のすぐ外から聞こえた遠吠えに体を強ばらせた。

「山口君じゃない?」

ミカはページをめくる。


「ぬぉぉぉぉおおおおおお!!!!」


「うひやあああああああああ!!」

突然窓の外に現れミカを見ながら吠えるジュンに驚いてミカも叫んだ。


ジュンは窓枠に足をかけるとそのまま図書室に上がり込んだ。

「ちょwジュンがご乱心でごじゃるwww」


そう言いいながらついでにヒロシも上がり込む。


「俺にも聞かせろ!!」


「なななな何をですか!?」


ミカの目の前のジュンはいつもと様子が違う。


いつも冷静ではしゃぐことはあっても熱くなることのないジュンの瞳が、燃えている。


「何こいつら」


ハルは冷ややかな表情で乱入者を見つめる。


「俺もわかんないんだじぇ」


「俺に!ねないこだれだを!聞かせろ!」


ジュンは思いついたのだ。


電気を消された風呂場の中なとで懐中電灯で照らされたいじわるな顔つきのカオリの顔を見ながらでなく、おさげでメガネをかけた抜けた顔つきのミカに読み聞かせてもらえばトラウマを克服できるのではないのか?と。


「ミカはあたしのために読んでくれてるの。くだらない脳みそをお持ちのあんたたちは出て行って」