「ありがとうございます!!このご恩は一生忘れません!いつか必ず恩返しします!!」

男は泣きながら俺に何度も何度もお礼を言った。

「恩返し?いいですよそんなの。俺はあなたがこの仕事に向いていると思ったから、スカウトしたのですから」

俺はまた車に戻った。

運転手がエンジンをつけた。

そして車は走り出した。

手に持っている札束と名刺を嬉しそうに見つめている男がどんどん遠ざかって行く。

そんな嬉しそうな男を見て俺も嬉しくなった。


「金持ちの気まぐれはあまり感心しませんな。坊っちゃま」