「それは無理だ。
うちは男ばっかり3人兄弟だ。
そんな家におまえの両親が大事な娘を預けるなんてこと、了承するはずないだろ」


俺がそう言うと、美玖はじっと俺を見つめた。

いや、睨んだ、と言う方が正しいか。


「……孝太郎は、いつもそう。
いつだって冷静で、客観的で。
そういうところ、かっこいいと思ってたけど、でも、こんなときくらいどうしてもっと感情を表に出してくれないの?」


俺を睨んだままそう言いながら、美玖の目はみるみる潤んだ。


「孝太郎は、私と一緒にいたくないのっ?
私のこと、どう思ってるのよ……」


俺はただ黙って、泣き崩れる美玖を見つめていた――