あれれれれ?


もしかして、奈津、私と同じように感じてない?


なんか、変だな。


まさか……。



おそるおそる、教室を見回す。

みんな、もうとっくに教科書もノートもしまって、がやがやと笑顔でお喋りに興じている。

その中に、私みたいに不満顔のクラスメートはいない。



うそ……。


ひょっとして、今の授業、ついていけてなかったのって、私だけ?



私は数学の教科書を開いて奈津の前に置いた。


「あのさ、この公式の意味、わかった?」

「ああ、それはね……」