持ってろって言ったくせに、結局飲まないの?

いったい、どういうつもりよー。


ブツブツ文句を言ってる間に電車は野川駅に着いた。



電車から降りたとたん、ビューッと風が吹きつけてきて、私は身を縮こまらせた。


「うっ、やっぱ今日寒いよー」


と、その時。



「あ……」



自分が両手で握りしめている缶の温かさに気づいた。


もう握りしめられるくらいに温度は下がっていたけれど、まだ十分温かい。