「おい、ケンカみたいだぜ!」


えっ、ケンカ?塾で?


女子が逃げ出してきた教室の前には、野次馬の人だかりができている。

ちょっと覗いてみると、机の散乱した教室の真ん中に男子が一人倒れていて、その前にもう一人男子が立っている。

どうやら、この二人がケンカの当事者らしい……。


って、ええっ!?


「あの、ちょっとすみません!」

教室の真ん中に立っている男子に見覚えがある気がして、人垣を掻き分けて前に出た。



「うそ!?オク?」


教室の真ん中で拳を握り締め、肩で息をしながら立っていたのは、なんとオクだった。