「先輩!」
「おう」
ホームに立っていた北見先輩の後ろ姿を見つけて左に並ぶ。
2学期が始まり、また塾帰りの12分の関係が復活して、1週間。
電車に揺られながら、たわいない会話を交わすこの時間が、私にとってはかけがえのないものになっていた。
彼女がいる人を好きになったって、どうにもならないのはわかってる。
でも、それでもいいんだ。
だって、私は北見先輩とおしゃべりするこの時間が好きだから。
相変わらず意地悪を言われることも多いけど、それにも慣れて、言い返すのも楽しかったりするし。
なんだかんだ言って、いろんなこと教えてくれるから、実は尊敬もしてるし。
まあ、つけあがるだろうから、先輩には絶対に言わないけどね!