「先輩、決めたって何を?」


髪を直しながら聞くと、北見先輩はニヤッと笑って、体をシートに投げ出した。


「俺、慶応に行く」

「はい?
慶応って、あの慶応大学ですか?」

「ああ」

「え、東大じゃなくて?」

「ああ」


いや、慶応だって、東大に負けず劣らず、超一流大学だけど。

なぜ、突然、慶応?


先輩の顔を見ると、にゅっと伸びてきた指に、鼻をつままれた。


「ふにゃっ!にゃにしゅるんでしゅか(何するんですか)!」

「ハハハハハッ」