黙って聞いていたけど、今のって、美玖先輩のこと?

なんか内輪の話っぽいけど、私が聞いちゃってよかったのかな……。


居心地悪く感じてたら、お兄さんが私に微笑みかけてきた。


「嫌な気分にさせちゃっかな、ごめんね。
あと、孝太郎をかばってくれてありがとう」

「あ、いえ……」


北見先輩は、さっきからずっと、無表情に押し黙ったまま。

代わりに、お兄さんが気遣ってくれる。


「身内の恥ずかしいところを見せちゃったね。
祖母は東大至上主義でね、だから孝太郎には厳しいんだけど、僕もうちの両親も、芦川さんと同じように、孝太郎は十分優秀だと思ってるよ」