「えー、マジですか?
それじゃあ、偏差値、かなり厳しくなるじゃないですか~」

「自己採点でどれくらいできたんだよ」

「えー、もういいです。
返して下さい!」


情けない自己採点の結果を教えたら、また嫌味を言われるに決まってる。

だから、言いたくなかったんだけど。

問題用紙を返してもらおうと差し出した私の手は、フッと空を切った。


「自己採点は?って聞いてんだけど」


うー、頭の上に問題用紙を持ち上げるなんて、ずるくない?

背高いんだから、届くわけないでしょ!

……だったら、もう、いい!


私は、くるりと先輩に背を向けて、ちょうど到着した電車に向かって歩き出した。