私は横を歩く北見先輩をそっと見上げた。 またどこか行く宛があるようで、壁の展示案内板を見て場所を確認している。 文字を追う目が、 真一文字に結んだ唇が、 あごから首にかけてのシャープなラインが、 全部、 好き。 美玖先輩、ごめんなさい。 私なんか美玖先輩にかなうはずもないから、 奪おうなんて考えてないから、 今だけ、許して下さい。 今日だけ、北見先輩の彼女の気分でいさせて下さい――