やがて拍手は鳴り止み、席を立つ観客の混雑が少しおさまるを待って、私と先輩も席を立った。 そしてまた、北見先輩は私の腰に手を当てて歩き出した。 迷子にならないようにってことだよね。 先輩にとってはそれ以上の意味なんてないんだろうけど、 私にとっては…… 先輩の手の当たっている場所が温かくて、 ずっとそうしていて欲しくて。 ……もうごまかせない、 この気持ち。