「あっ、すいません」

肩がぶつかった背の高い男の人に頭を下げていたら、斜め前から手が伸びてきた。


グイッ。


腰に腕を回され、引き寄せられる。


「せ、先輩!?」

「どんくさいやつだな。
ぶつからないように歩けないのか?」

「だってここ、通路がくねくねしてて、でも人が多くて見通し悪いし、先輩がどっちに行くか見失いそうで……」

「いいから、こっちだ」


先輩は私の腰に手をかけたまま、スタスタと先を急いだ。