「いえ……」


言葉まで、今までみたいにスラスラ出てこなくなっちゃったよ。

私、先輩とどんなふうに喋ってたっけ?

いつも通りにしなくちゃ、変に思われちゃうのに。


「聡美……」

「えっ、はい?」


突然北見先輩に名前を呼ばれ、ドキッとした。


「あいつ、芦川のこと、『聡美』って呼んでたな?」

「ああ、私、クラスメートには女子にも男子にもそう呼ばれてますから……」

「そうか。
じゃあ、俺もそう呼ぶことにする」

「えっ、ああ、はい……」