「ああ、ええ、そうなんです!
それで、せっかくだから東大コースってどんな講義してるのかなーってのぞきにきました」
私が作り笑いを浮かべてそう言うと、北見先輩は軽くうなずいて私の背に手を当てた。
「そうか。行くぞ」
「え、あ、はい……」
あれ?
きっとまたいつもみたいに、
『おまえが聞いたってわからない高度な講義だ』
とかなんとか意地悪言われると思ったのに。
なんだか拍子抜け。
しかも、混雑した廊下を背中に手を当てたままエスコートしてくれて、
ちゃんと女の子扱いされてるみたいで、なんかちょっとむずがゆい……