「まあ、まだごちゃごちゃ言ってたけど、向こうに行っちまえばもうどうしようもないだろ」

「……そうか。
本当に悪かったな」

「だから、もういいって。
ああ、そういえば、後輩が映画館で兄貴たち見かけたって言ってたぜ。
相変わらず仲いいみたいだな」


俺がそう言うと、兄貴は目を見開いた。


「えっ、映画館で?
後輩って?」

「ほら、こないだ電車で会った塾の……」

「ああ、あの子か。
明るくて可愛い子だったな」

「…………」


俺が黙ると、兄貴はピンと来たようで微笑んだ。