◆北見孝太郎side



芦川との電話を切ってしばらくしたら、兄貴が部屋をノックしてきた。


「なに?」

ドアを開けると、やや気まずげな顔の兄貴が頬をかきながら言った。

「この間のこと、ちゃんと謝っておきたいと思ってさ……」

「ああ、いいよ、別に」


俺はそう言ったが、兄貴は部屋に入ってきて、床に腰を下ろした。

しかたなく俺もその横に座った。