「友達?
女同士でデートムービーを見に行ったのか?」

「いえ、男ですけど……
でも、『友達』です!」


私がむきになって『友達』を強調すると、北見先輩はちょっと黙って私の顔を見つめた。


「な、なんですか?」


無表情な北見先輩に見つめられるのは、居心地が悪い。


「一つ聞くが、その映画、その『友達』に誘われたのか?
それとも、おまえから誘ったのか?」

「え?えっと、誘われたんですけど……」

「ふうん。
だったら、そりゃ『友達』じゃないだろ」

「ええっ?それ、どういう意味ですか?」


私が顔をしかめて聞くと、北見先輩はさもあたりまえ、と言った表情で答えた。