「あの彼女さんももしかして東大生ですか?」
「さあ……?
どうでもいいけど、そんなに兄貴と彼女を観察して、おまえは一人で映画見に行ってたのか?」
「いえ、私は友人と」
「何を見たんだ?」
私は映画のタイトルを答えた。
でも北見先輩は知らなかったみたい。
「少女マンガが原作の恋愛ものです」
「ふうん。
デートムービーか。
おまえ、男いたのか」
「ええっ?
いえ、私はただの友達と見に行っただけです!」
オクのことを思い出して『ただの友達』を強調した。
そう、オクは彼氏でも、彼氏候補でもない、『ただの友達』。