「いったーい!」


デコピンされたおでこを押さえて抗議すると、先輩はさもおかしそうにクスクス笑っている。


あー、もう、最低っ!


反撃しようと拳を振り上げると、ちょうどホームに入ってきた電車に先輩は笑いながら逃げた。


「ちょっ、逃げるなんて卑怯!」


私も慌てて後を追って電車に飛び乗ったら、

電車に乗るなり立ち止まった先輩に危うく鼻をぶつけそうになった。


「うわっ、先輩、入り口で止まんないで下さいよ!」


文句を言いながら先輩を見上げると、

さっきまでの笑顔を引っ込めて、気まずそうに横に立っていた男の人と目を合わせていた。