いやいやいや。

あの見た目にだまされちゃいけない。

自己中の意地悪な俺様なんだから!



「こんにちは」


雑誌を読んでいた北見先輩の左に立ち、ごく普通に声をかけた。


ちらっとこちらを見た先輩は、そのままじろじろと私の体に視線を這わせた。


「な、なんですか?」


遠慮のない視線に抗議すると、またあの意地悪なニヤリとした顔。


「べつに」


そう言って、また持っていた雑誌に目を戻す。