「春菜、返事は!」

「え?あ、うん?」

驚くことの連続で
声が上ずり
会話にならない返事をしてしまった私に
部屋中
みんなの笑い声が響き渡る。

「春菜ってば、
もうちょっと
ロマンチックに返事してよ~」

美香が 笑いながら
そう言うと

「まっ、春菜ちゃんらしいべ?」

いとこくんが
まとめ役に入った。

「春菜、手」

「手・・・・?」

差し出すと

「右じゃなくて左手」

「あ・・はい」

薬指にはめられた指輪を見ながら、
一生分の幸せを
ここで使い切ったんじゃないかと
思えてしまうくらい
夢の中にいるような気分だ。

それからは

輝樹の両親も、
弾け飛んだように
飲んで、
足の踏み場もないくらい
みんなが床に
酔いつぶれてしまい、
美香と私は
片付けに追われて
ようやく 朝方
ゆっくりと話をする事ができた。