「…俺のこと好きじゃねーのかよ」
背後でドアが閉まった。バタン!と不機嫌な音。
ヒロイチを怒らせてしまった。吐きつけられた言葉はもっともだ。
25日。クリスマス当日。
ホワイトクリスマス、とまでロマンチックではないけれど、カーテンを開けばそこには、綺麗に澄んだ星空。
シチュエーション的にはすごく素敵なクリスマスと言えるのに。
一人ぼっちになった部屋で、ため息をつく。
怒らせるのも当然だ。怒らせる、というか失望させてしまった、というか。
だってもう、わたしたちは一年と少し付き合っている。
ヒロイチとは、高校一年の夏終盤頃からの付き合いだ。出会ったのは春で、おつきあいが始まったのが、という意味だけれど。
手をつなぐよりも、抱きしめられる方が先だった。告白された時に、泣きそうな顔のヒロイチに抱きしめられた。
わたしはそれまでにもヒロイチのことは好きだなぁと思っていたのだけれど、ぎゅうと腕に囲われたその時に、ああ、本当に好きなんだなぁと確信したのだった。
今ではずいぶん、昔のことに聞こえるけれど。