待ち合わせした駐輪場。

手をつないだ公園。

同じクラスの、斜めの席になった教室。

目が合った廊下。

試験勉強を一緒にしたファミレス。

ケンカのあと、仲直りした防波堤。

毎日二人乗りした自転車。

定休日に行ってしまった遊園地。

たまたま寄ったら、二人とも気に入った喫茶店。

スケート場。原っぱ。神社。本屋。CDショップ。


数日間まともに動かしていなかった足は、倦怠感を越えて軋み始める。

アカリはどこにも居なかった。

居ないことを確かめては、次の場所を辿る。

確かめなければいけないところは、あとは。あとは────


漠然と考えて、呆然とした。

そんなものはたくさんあった。ありすぎた。

だってずっと、一緒にいたから。

どこ、という名前がつけられない場所にだって、俺たちは笑っていた。