「なにをうらなってほしいの?」

 それを聞くとカボチャ少年は明るい声で「おねえちゃん、ありがとう!」と言いながら、テーブルの上に持ってるだけの飴やチョコレートやお菓子を広げた。男の子はお礼のつもりらしいが、図らずもお菓子によってアリエちゃんの心を掴んでしまった。キラキラしたアリエちゃんの顔から、占いにかけるモチベーションは絶好調。男の子の迷子がハロウィンで本当によかったと僕は思った。


 でも、僕は万が一のアリエちゃんのエネルギー切れを考えて、店のメニューをこっそり取り出した。

 迷子のカボチャ少年はアリエちゃんの前に座ると、僕にも大きな星をかたどったチョコレートをくれた。それは銀紙でしっかり包まれていて赤いリボンで縛られている。

「ありがとう、」
「たべたらびっくりするしかけがあるんだ!ママがつくってくれたんだよ。はい、おねえちゃんにもあげる」
「へぇ、」

 アリエちゃんは目をキラキラさせて男の子からチョコレートを受け取った。僕がチョコレートに見入っていると、突然目の前にココアが置かれた。

「ハロウィン・スペシャル~☆」

 覗き込むと、生クリームでゴーストのイラストが描かれていた。聞きなれたその声に顔をあげると、そこには羽飾りをつけた帽子と華やかな衣装の、まるでサーカス団員みたいな恰好をしたゆりあさんが立っていた。