私に兄弟なんていたっけ?
確か、一人っ子だったよね……?
しかも、双子……?


「その話、ホントなの?」
「うん、本当だよ」


笑って答える。


「ねぇ、一体何者なの?」
「僕は双子の兄だけど?」
「そうじゃなくて……」
「あぁ。僕"達"は純血のヴァンパイア」
「純血……?」


ヴァンパイアには、いろいろ種類があるの?
しかも、僕"達"って……?
私もって事、だよね……?


「少し混乱してるみたいだね……大丈夫?」
「平気……それより質問に答えて?」
「いいよ。純血のヴァンパイアは、代々人間の血が一滴も混ざらず現在に至る、すごく少ない、力を持ったヴァンパイアの事だよ?」
「力を持った、ヴァンパイア……? 私も、そうなの?」
「そうだよ」


えっ……?
でも、私は血を欲しいと思った事なんて一度も……。


「それは、ここの家の人が親切だったからだよ?」
「……えっ?」
「君の毎日食べていた食事の中に、少しづつ、血を混ぜてくれていたんだ」
「……そんなっ……? だったら、普通気づくんじゃない?」
「そんな事ないよ? だって、ヴァンパイアは普通に血を吸うんだよ? 知っているだろ?」


じゃあ、私は知らずに血を……?
そんなっ……。
知らなかった……。
どうして……?


「記憶がいじられたんだ。僕"達"は沢山のヴァンパイア達に恐れられていたから……」
「また、"達"なの?」
「そうだよ。僕達は二人で一つなんだからね」
「双子だから……?」
「君が言ったんだよ? そうやってね」


彼の顔は、確かにそっくりで……。
それに、どこか懐かしい気がした……。